ケン・イシイと分厚いマニュアル

もう随分前だけど、キーボードマガジンだったかサンレコだったか、とにかくそういう音楽を作る側の趣味雑誌に掲載されたケン・イシイのインタビュー。その最後の言葉が強く印象に残っている。

インタビュア「では最後に読者の方にメッセージをお願いします」
ケン・イシイ「新しい機材を買ったらマニュアルはしっかり読みましょう」

普通この手のインタビューのシメは自分の新譜の宣伝とか、テンプレ的な感謝や応援の言葉だろうという予想に反して、実に的確で具体的なアドバイスが彼らしくて爆笑してしまった。当時の彼の音楽は僕の趣味ではなかった(近年の作品はわりと好き)が、このアドバイスは実に正しくプラクティカルだ。

最近のシンセサイザーは、機能を絞ったモデルが人気だけど、当時はユーザーフレンドリーとは言い難いインターフェースのくせに、やたらと機能が詰め込まれ深い階層になっている機材が多かった。ミュージシャンはマニュアルを読み込むなんて面倒な作業は嫌う傾向があったので、何年も使ってる機材でも知らないままの機能は多かっただろう。

ユーザーの知識は低いレベルで停滞する – U-Site
http://www.usability.gr.jp/alertbox/stagnating-expertise.html

この記事を読んで、そんなことを思い出した。